原著
胃癌患者の術前血清CEA測定の意義
三輪 晃一**, 宮崎 逸夫*, 松木 伸夫*, 沢 敏治*, 米村 豊*, 小島 靖彦**, 野口 昌邦*, 高島 茂樹*, 竹下 八洲男*, 中川原 儀三**
金沢大学医学部第2外科*, 福井医科大学医学部第1外科**
胃癌患者214例のRoche kitによる術前血清CEAを胃癌の進行度・病理学的所見・予後との対比で検討した.胃癌患者のCEA 5 ng/ml以上の異常値出現率は41.6%,10 ng/ml以上の陽性率は20.6%であった.CEA陽性例の89%はステージIVで,転移因子別の陽性率は肝転移56.0%,腹膜播種36.5%,リンパ節転移19.8%を示した.転移の程度と陽性率の関係は,肝転移・リンパ節転移では正の相関がみられたが,腹膜播種では程度が高まっても陽性率は変らなかった.組織型別の陽性率は分化癌で高く,未分化癌で低い傾向がみられた.CEA値と予後の関係は,10 ng/ml以上の陽性例は根治手術不能のことが多く,拡大術式で治癒手術を行いえた症例でも予後は不良であった.
索引用語
血清CEA, 胃癌進行度, 胃癌組織型, 胃癌根治手術, 胃癌患者の予後
日消外会誌 14: 1563-1570, 1981
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