原著
胃癌腹膜播種症例の治療
野浪 敏明*, 中島 聡総, 高木 国夫, 梶谷 鐶
癌研究会附属病院外科, *現 名古屋大学医学部第2外科
開腹時腹膜播種を認めた胃癌973例を対象とし,治療法と予後との関連性を検討した.P1,P2,P3およびP因子に他非治癒因子を合併した群のいずれにおいてもその予後は相対非治癒切除群,絶対非治癒切除群,非切除群の順に低下した.このことは腹膜播種症例でも切除による腫瘍量の減少が延命効果を持つことを意味している.術後化学療法の効果は相対非治癒切除群に認められ,絶対非治癒切除群,非切除群では効果を認められなかった.よって腹膜播種症例の治療は,技術的に可能なかぎり手術的に癌腫をより減少せしめるreduction surgeryを原則とし,adjuvant chemotherapyを積極的に行うことが必要であると考える.
索引用語
胃癌腹膜播種, 予後
日消外会誌 14: 1571-1575, 1981
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