原著
術後栄養障害の面よりみた消化性潰瘍に対する各種胃切除術の検討
渡部 洋三, 近藤 慶一郎, 金沢 寛, 若林 厚夫, 津村 秀憲, 小島 一雄, 川島 利信, 工藤 猛, 城所 仂
順天堂大学第1外科
われわれは胃切除術後の体重減少と下痢の2つを栄養障害の指標として1112例の消化性潰瘍症例(胃全摘10例,広範囲胃切除術916例,幽門洞切除術43例および選迷切兼幽門洞切除術143例)について術後経時的(1,3,7年以上)に追跡調査を行い次の成績を得た.胃切除術後の体重減少,下痢は,ともにB IとB II法との間に有意差はみられなかったが,その成因に関しては差がみられた.術式別では,術後消化性潰瘍の発生頻度が最も低くすぐれた術式である選迷切兼門洞切除術は,術後無酸のための消化障害や胃内容停滞による食事摂取量の減少のために,体重減少,下痢の面で広範囲胃切除術との間に有意差が認められなかった.
索引用語
消化性潰瘍, 胃切除術後栄養障害, 胃切除術後体重減少, 胃切除術後下痢
日消外会誌 14: 1698-1702, 1981
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|