原著
N-(2-Tetrahydrofuryl)-5-Fluoro-uracil(FT 207)の直腸内投与による血中,腫瘍内濃度についての一考察(第1報)―病理組織学的抗腫瘍効果と腫瘍内分布を中心に―
北島 政樹, 加賀 文貴, 池田 義毅, 検見崎 博樹, 上田 光久, 八木田 旭邦, 小野 美貴子, 立川 勲, 相馬 智, 福住 直由1)
杏林大学第1外科学教室, 杏林大学病院病理部1)
Time dependentであるFT207坐剤を用い,実験的および臨床的検討を行なつた.雑種成大により血中内濃度の推移をみると,投与後9時間まで有効濃度を保っていた.担癌患者における血中内濃度は1500 mg投与では8時間,750 mg投与では6時間,有効血中濃度以上を示した.以上の成績を基に胃癌23例,大腸癌9例に対し術前投与を行なつた.その結果,総投量が8.0 g以上の投与例において,FT207の活性物質である5 Fuの腫瘍組織内濃度は有効血中濃度以上であつた.これらの高値は胃癌ではBorrmann I型,II型および大腸癌では限局潰瘍型であつた.徴細血管構策像を検討してみるといずれもhyper vascularであり,血流が関与していることが想定された.
索引用語
FT207坐剤, 腫瘍組織内濃度, 徴細血管構築像, 5 Fu, 抗腫瘍効果
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