宿題報告
細胞核内DNA分析による癌の悪性度分類に関する研究―胃および食道癌を対象として―
三戸 康郎, 平塚 隆三, 土器 辰雄
福岡大学第2外科
胃癌113症例および食道癌40例について,顕微分光側光法(落射蛍光法)により,それぞれの癌細胞核DNA量を測定し,そのhistogramの分析から4型のDNA Histogram Patternを分類し,DNA量からみた癌の悪性度分類につき検討した.胃癌はDNA Histogram Pattern II型を示すものが多く(46%),なかでも表層拡大発育型(Super)型胃癌25例は84%がI型を示し,深部浸潤発育型(Pen)胃癌14例ではIII,IV型を示すものが57.2%と多かった.胃切除術後の累積生存曲線でもI型の5生率が70.7%,II型が46.5%,III型が35.8%,IV型が30.9%とDNA量が増すにつれて胃癌の悪性度もまし予後不良であった.食道癌でも同様の傾向がみられたが,ことにIII,IV型が全体の55%を占め,胃癌より悪性度が強い印象を与えた.胃癌,食道癌ともにDNA Histogram Patternはリンパ管侵襲所見の程度と強い相関を示した.
索引用語
胃癌, 食道癌の核DNA量分析, DNA Histogram Patter, 癌の悪性度
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|