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第15巻 第7号 1982年7月 [目次] [全文 ( PDF 650KB)]
原著

食道静脈瘤における直達手術前後の門脈血行の変化―経皮経肝門脈造影による検討―

山名 秀明, 掛川 暉夫, 小深田 盛一, 姜 定幸, 外山 俊二, 本多 哲矢

久留米大学第1外科

 左開胸経横隔膜的アプローチによる直達手術前後の門脈血行の変化を,食道静脈瘤患者20例を対象として経皮経肝門脈造影により検索した.術前の門脈圧は394±47 mmH2Oであり,術後約1カ月目の門脈圧は375±55 mmH2Oと若干の減少を認めたが有意なものではなかった.脾静脈圧と上腸間膜静脈圧も術後にはそれぞれ22±70%,17.3±48%の減少を認めたが有意なものではなかった.一方,門脈本幹径,脾静脈径,上腸間膜静脈径の変化をみると,脾静脈径のみが術後に有意(p<0.001)に縮小しており,20例中14例に脾静脈血栓が認められた.また門脈本幹に軽度の血栓形成を認めたものは5例(25%)であった.このことより,本法による直達手術後には大半の症例が脾静脈血栓を併発することが判明した.また門脈本幹にも軽度ではあるが高頻度に血栓形成を認めたことは術後の肝不全発生の一因としても重要な意味をもつものと思われた.

索引用語
食道静脈瘤, 経皮経肝門脈造影, 門脈血栓, 脾静脈血栓

日消外会誌 15: 1174-1180, 1982

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