原著
開腹術後の消化管運動に関する筋電図学的研究―Prostaglandin F2αの腸管運動促進作用について―
山岸 良男
新潟大学医学部外科学第1講座(指導:武藤輝一教授)
開腹術後の腸管運動をイヌ小腸筋電図を記録し検討した.さらに腸管運動促進作用があるといわれるprostaglandinF2α(以下PGF2αと略す)を投与し,その作用を同様に検討した.開腹術後6時間経過すると下部小腸ではすでに正常の筋電図パターンが観察され小腸運動は抑制されにくいことが判った.PGF2α投与によりspike potentialsの発生頻度は増加し小腸運動は亢進した(PGF2α投与前空腹期25.0±5.8%-PGF2α 0.5 µg/kg/min投与時40.6±8.8%,1.0 µg/kg/mic投与時54.7±11%,2.5 µg/kg/min投与時66.5±8.6%:p<0.001).臨床例においてPGF2αを0.35±0.09 µg/kg/minの速度で投与すると,手術終了より初発排ガスまでの所要時間は短縮しPGF2αは術後腸管運動促進剤として有効であった(PGF2α投与群3,486±1,239分,対照群4,219±662分).
索引用語
イヌ小腸筋電図, 開腹術後の腸管運動, interdigestive myoelectric complex, 腸管運動促進剤, prostaglandinF2α
日消外会誌 15: 1238-1248, 1982
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