食道癌，胃癌における腹部超音波検査―特に腹腔動脈近傍のリンパ節転移の術前診断への応用―

吉中　平次, 西　満正, 末永　豊邦, 田辺　元, 馬場　政道, 森藤　秀美, 黒島　一直, 福元　俊孝, 愛甲　孝, 加治佐　隆

鹿児島大学医学部第1外科

　超音波像に腹腔動脈を描出し，それをland markとしてその近傍のリンパ節転移について検索した．対象：1980年9月～1981年9月に当科に入院した食道癌患者27，胃癌患者67計94例である．結果：1）腹腔動脈描出率は83％（78/94例）で，描出不良例はその周囲に高度のリンパ節転移を認める例が多かった．2）リンパ節転移（胃癌取扱い規約のNo 7，9）の有無の正診率は91％（86/94例）で，癌進展の術前検査として本検査法の有意義なことがわかった．3）転移リンパ節は，辺縁鮮明な弱エコー像または，辺縁が鮮明でしばしばnotchingを伴い内部に粗大エコーの散在する像として描出された．4）胃癌取扱い規約^1）のNo.7，8，9および14aの部位判定が可能であった．

索引用語
腹腔動脈の超音波像, 胃癌のリンパ節転移, 食道癌の腹腔内リンパ節転移, リンパ節転移の超音波診断, 転移リンパ節の超音波像

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