原著
超音波検査による膵癌門脈浸潤度の評価
宮下 正, 鈴木 敞, 谷 友彦, 内田 耕太郎, 戸部 隆吉
京都大学医学部第1外科
膵癌および膨大部癌29例の門脈浸潤度に関してその術前超音波像をType I(遊離型),Type II(密接型),Type III(融合型)の3型に分類し,術前血管撮影像および開腹時肉眼的門脈浸潤度と比較検討した.Type I群9例中8例は開腹時肉眼的門脈浸潤を認めなかったのに対し,Type II群およびType III群は20例中19例に肉眼的門脈浸潤を認めた.超音波所見と血管撮影所見はType l群およびType III群ではよく一致したが,Type II群では解離が認められた.開腹時所見と対比したところ,Type II群に属した症例においては超音波像の方が血管撮影よりも忠実に病巣の状況を示していた.また門脈浸潤度に関する超音波像分類は病巣切除可能性や切除術式を検討する一つの指標にもなり得ると考えられた.
索引用語
超音波検査, 血管撮影, 膵癌門脈浸潤度
日消外会誌 15: 1338-1347, 1982
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