原著
消化器癌患者の血清フェリチン測定の臨床的意義
佐藤 元通, 清水 英範, 喜安 佳人, 洒井 堅, 大越 輝紀, 木村 茂
愛媛大学医学部第2外科
消化器癌患者79例を治癒手術群,非治癒手術群,末期群に分け血清フェリチンを検討した.健常男性の+2SDにほぼ相当する200 ng/ml以上を陽性とした.癌進行とともに高値をとり,治癒手術群では術前陰性が大多数で,肝・胆道・膵癌で高く,食道・胃・大腸癌で低いが後者でも末期進行例では高値をとった.手術後・化学療法施行中・進行癌のいずれも上昇が続くものは予後が悪く,急激に上昇するものは死期が近かった.化学療法施行中は上昇するが有効例では終了後下がった.診断学的にはCEA,AFPと,stagingにはα1-Antitrypsisと組み合わせ判断することが有用であった.以上,消化器患者の血清フェリチンはStaging,経過のmonitoringに有用であると考えられる.
索引用語
serum Ferritin, α1-Antitrypsin
日消外会誌 15: 1379-1386, 1982
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