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第15巻 第9号 1982年9月 [目次] [全文 ( PDF 1230KB)]
原著

Radioautographyを用いた大腸隆起性病変および周辺粘膜の腺窩内細胞動態に関する研究

重盛 憲三

三重大学医学部外科学第2講座(指導:鈴木宏志教授)

 大腸癌38例,大腸腺腫32例,家族性大腸腺腫症6例およびその家族5例を対象とし,さらに対照とした健常者10例について手術あるいは内視鏡下生検にてえた大腸粘膜を6~24時間器管培養を行いながらthymidine methyl-3Hの連続標識法にてradioautogramを作製し,腺窩内細胞動態の観察を行った.正常大腸粘膜では標識細胞は腺窩下方に出現し,時間の経過とともに腺窩上方へ移動していく.すなわち増殖帯は腺窩下方に存在した.腺窩の高さ,腺窩の高さに対する最高位標識細胞の高さの比率,標識率には大腸各部位に差は認められなかった.大腸癌では腺窩の上方,表層を中心に標識細胞が分布し,増殖帯がこの部位を中心に存在していた.標識率は正常粘膜に比べて有意に高値を示した.癌の移行部粘膜の細胞動態は正常粘膜と差がなかった.大腸腺腫の標識細胞は癌と同様に腺窩の上方,表層を中心に分布し,増殖帯はこの部位を中心に存在していた.標識率は正常粘膜より有意に高値を示したが,癌との間には差がなかった.家族性大腸腺腫症腺腫の細胞動態は大腸腺腫と変らなかった.家族性大腸腺腫症およびその家族のflat mucosaの標識率は正常大腸粘膜と差がないが,最高位標識細胞の高さは有意に高く,細胞増殖帯の延長が考えられた.すなわち,家族性大腸腺腫症のflat mucosaを腺腫の前段階としてみるならば,腺腫の発生は増殖帯の腺窩底部から上方への延長として始まり,これに腺腫様変化が加わると考えられた.

索引用語
radioautography, 大腸腺窩内細胞動態, 大腸癌, 大腸腺腫, 家族性大腸腺腫症

日消外会誌 15: 1465-1475, 1982

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