大腸早期癌の臨床病理学的特徴と治療方針について

高島　茂樹, 上村　卓良, 片山　外一, 山口　明夫, 喜多　一郎, 礒部　芳彰, 小森　和俊, 米村　豊, 藤田　秀春, 宮崎　逸夫

金沢大学医学部第2外科

　大腸早期癌72例（m癌48例，sm癌24例）を対象に臨床病理，遠隔成績に検討を加えた．肉眼型はIp 47.2％，Is 36.1％，IIa 6.9％，IIa＋IIc 9.7％に大別され，肉眼型に伴うsm癌頻度はおのおの8.8％，50.0％，60.0％，71.4％とIpで最も低く，IIa＋IIcで最も高率を示した．腫瘍径はm癌に比べsm癌でやや増大傾向をみたが，腫瘍径から両者の鑑別は困難であった．組織所見はm癌の全例INFα，ly（－），v（－），n（－），高分化腺癌に対しsm癌ではINF β以上41.7％，ly（＋）29.2％，v（＋）8.3％，n（＋）4.8％，高分化腺癌87.5％を示した．5生率はm癌4/14（100％），sm癌9/10（90％）で，再発はIp，Is型sm癌2例に認め再発要因としてly因子の重要性が示唆された．以上よりly（＋）例では肉眼型にとらわれず根治手術を選択すべきことを提議した．

索引用語
大腸早期癌, 脈管侵襲, リンパ節転移, sm癌局所再発

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です