宿題報告
消化管手術後の消化吸収障害とその対策―特に胃切除後遠隔時の障害と小腸広範切除後の障害について―
小山 真
新潟大学第1外科(武藤輝一教授)
胃切除後遠隔時に胃広切例の60%に骨粗鬆症,1.5%に骨軟化症が,全摘例では80%に骨粗鬆症,20%に骨軟化症がみられたが,いずれもBII型や食道空腸吻合などの非生理的再建例に高率であった.十二指腸,空腸上部がbypassされる他に脂肪やビタミンDの吸収障害,下痢,牛乳不耐症などによるCaの吸収低下が原因と考えられ,ビタミンD剤,消化酵素剤,Ca剤の投与が有効であった.
高度な吸収障害を来たす小腸広切例では,残存小腸が70 cm以下になるとさらに脂肪や蛋白の消化障害も合併することがわかった.食餌中の糖を変え,又胆汁の投与によって残存小腸粘膜の適応が進む可能だが示唆された.
索引用語
胃切除後骨病変, 胃切除後牛乳不耐症, 術後消化吸収障害, 残存小腸の適応, 短腸症候群
日消外会誌 15: 1696-1705, 1982
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|