原著
膵癌症例における糖尿病との関連性について
林 い欽, 森 洋, 織部 孝史, 野田 剛稔, 角田 司, 吉野 りょう三, 伊藤 俊哉, 土屋 凉一
長崎大学医学部外科学第2講座
膵癌症例112例で,糖代謝異常の有無及び,ラ島の組織学的所見を検索し,糖尿病との関連性を検討した.膵癌と糖尿病の合併は112例中49例(43.8%)にみられ,そのうち一次性糖尿病は5例(4.5%)であった.耐糖能試験は71例に行い,37例(52.1%)が糖尿病型を示し,境界型を合わせて59例(83.1%)に耐糖能異常を認めた.腫瘍占居部位や,肝機能障害の程度による差は認められなかった.耐糖能試験時のIRI反応は糖尿病合併例では低反応,遅廷型を示した.組織学的には,糖尿病を示した症例の膵体尾部にラ島の数とβ顆粒の増加傾向を,しかしラ島はむしろ萎縮傾向を認めた.膵実質は腫瘍占居部位に拘らず,膵体尾部の強い線維化傾向を認めた.
索引用語
膵癌, 膵性糖尿病, 一次性糖尿病, 耐糖能試験, 閉塞性黄疸
日消外会誌 15: 1758-1764, 1982
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|