原著
大腸と他臓器との重複癌の検討
中塚 博文, 西亀 正之, 田村 泰三, 黒田 義則, 上田 敏明, 土肥 雪彦, 児玉 求, 江崎 治夫
広島大学第2外科
最近10年間に14例の大腸と他臓器との重複癌を経験した.この期間の全大腸癌は173例で,8.1%の頻度であった.男性8例,女性6例で平均年齢は60.4歳であった.大腸癌は結腸6例,直腸8例に認められ,他臓器癌は胃,膀胱が3例,子宮,甲状腺,肺が2例,食道,副鼻腔が1例ずつであった.他臓器癌先行例では大腸癌発現までの平均期間が甲状腺11.9年,胃4.4年,子宮3.7年,副鼻腔1.6年,肺0.1年と臓器別に特徴がみられ,予後の比較的良好な癌でも第2癌発生を念頭においたfollow upが必要と思われた.また家族歴において重複癌の7例(50%)に3親等内の癌の発生が認められ,うち6例は1親等内であった.これらは全大腸癌に比べ高い値であった.
索引用語
大腸癌, 重複癌, 家族内癌発生率
日消外会誌 15: 1785-1789, 1982
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|