原著
胃全摘術後愁訴に関する検討
富田 正雄, 三浦 敏夫, 田渕 純宏, 原田 達郎, 石井 俊世, 下山 孝俊, 中山 博司, 平野 達雄
長崎大学医学部第1外科
胃癌に対する胃全摘術施行例202例について術後愁訴を中心に検討した.
1)本術式は漿膜浸潤を伴うBorrmann 3および4型に適応される頻度が高く,70歳以上の高齢でも症例の生理学的年齢に応じて十分適応できる.
2)再建術式はRoux-Y吻合,空腸移植,double tractおよびBillroth II法が行われたが1975年以降Billroth II法は行われていない.術式別にみると5年生存率逆流性食道炎・術後下痢・小胃症状の点からは空腸移植,double tractがすぐれていたが,食事摂取,タンピング症状,術後体重増加の点ではBillroth II法を除き著明な差はみられなかった.就労状況は空腸移植法ですぐれていた.
3)代用胃としての嚢貯溜能は99mTC-DTPAl.5 mciを含んだ試験食による代用胃シンチグラフィーからその有用性がみとめられた.
索引用語
胃全摘, 術後愁訴, 胃癌, 逆流性食道炎, 予後
日消外会誌 15: 1849-1854, 1982
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