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第15巻 第12号 1982年12月 [目次] [全文 ( PDF 512KB)]
原著

十二指腸内ブドウ糖および脂肪負荷時の血中モチリンの変動と全幹迷走神経切離の影響

吉矢 健一, 山村 武平, 琴浦 義尚, 橋本 直樹, 石川 羊男, 伊藤 信義, 森 幸三郎1), 清野 裕1), 矢内原 昇2)

兵庫医科大学第2外科, 京都大学第2内科1), 静岡薬科大学生物薬品化学教室2)

 迷走神経切離後に生ずる変化の中で,胃腸運動の調節への関与が深いとされるモチリンの変化について不明な点が多い.そこで成犬13頭の空腹時ならびに十二指腸内ブドウ糖および大豆油負荷時の血中モチリン分泌動態を,全幹迷走神経切離(TV)の前後で比較検討した.(1)TV後も術前と同様に空腹時モチリンの間歇的分泌亢進が認められた.その値はTV後に若干上昇傾向を示したが有意の変化ではなかった.(2)ブドウ糖負荷によりモチリン分泌は抑制された.TV後も同様に抑制された.(3)大豆油負荷によりモチリン分泌は亢進した.TV後も同様に亢進すると判断した.以上より,迷走神経切離はモチリン分泌に対して重要な変化をおこさないものと考えられた.

索引用語
モチリン, 幹迷切, ブドウ糖負荷, 脂肪負荷

日消外会誌 15: 1887-1891, 1982

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