原著
高位胃潰瘍に対する選択的近位迷走神経切離兼分節的胃切除術の遠隔成績―とくにドレナージ術付加の問題点と関連して―
上西 紀夫, 島津 亮, 大原 毅, 近藤 芳夫, 高野 征夫1), 荒木 駿二1), 瀬戸 律治1)
東京大学医学部第3外科, 公立昭和病院外科1)
最近3年間に高位胃潰瘍23例に対し選近迷切十分節胃切土幽成術を施行し,その遠隔成績およびドレナージ術付加の問題点について検討を加えた.全体として,Visickの分類でI+IIが87.5%と良好な結果であった.この中で,H.-M.型幽成術を付加した症例では術後胃内視鏡,胃粘膜生検による組織学的検索にて胃炎性変化が増強する傾向を認め,また臨床的にもダンピング症候群の発現,体重の減少などを認めた.高位胃潰瘍に対する本術式は,手術侵襲が少なく残胃は大きく消化吸収機能も十分保たれ,合理的な手術術式と考える.そして,原則的には,本術式にドレナージ術付加は不必要であり,とくにH.-M.型幽成術は避けた方が良いという結果を得た.
索引用語
高位胃潰瘍, 選択的近位迷走神経切離術, 分節的胃切除術, Heineke-Mikulicz型幽門成形術, Pyrolomyotomy
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