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第16巻 第1号 1983年1月 [目次] [全文 ( PDF 724KB)]
原著

門脈圧亢進症におけるhyperdynamic stateの成因に関する検討

山名 秀明, 掛川 暉夫, 古賀 信行, 本多 哲矢, 外山 俊二, 佐谷 博俊

久留米大学第1外科教室

 肝硬変による門脈圧亢進症々例17例と,対照群として合併疾患のない胃癌症例10例に対し,Swan-Ganz catheterによる血行動態の検索を施行したところ,門脈圧亢進症群は対照群と比べて明らかにhyperdynamicな循環動態を呈していた.また,これらの門脈圧亢進症群の空腹安静時静脈血中glucagon値は187±96 pg/mlで,対照群の92±32 pg/mlと比べて有意な高値を認めた.このglucagonはpharmacological doseにおいて心拍出量の増大と末梢血管抵抗の減少をもたらすことが知られており,門脈圧亢進症におけるhyperdynamic stateの成因の1つとして関与していることが考えられた.そこで,実験的にglucagonが全身および腸管血行に及ぼす影響を検索してみた.まず雑種犬5頭を用いてglucagon(1 μg/kg/min)を持続静注すると20分後に心拍出量は21.7%の増加,末梢血管抵抗は30.1%の減少,門脈圧は34.7%の上昇を認めた.次に肝圧縮法による急性門脈圧亢進症犬5頭を作成してみると,門脈圧は138%の上昇を認めたが心拍出量は17.8%の減少,末梢血管抵抗は6.1%の増加を認めhypodynamicな循環動態を呈した.そこで,glucagonを投与すると20分後に心拍出量は肝圧縮直後と比べて36.3%の増加,末梢血管抵抗は19.5%の減少を認めhyperdynamicな状態を呈した.
 これらの成績より肝硬変症による門脈圧亢進症々例のhyperdynamicな血行動態の成因としてglucagonの関与も充分に考えられた.

索引用語
門脈圧亢進症, Swan-Ganz catheter, hyperdynamic state, glucagon

日消外会誌 16: 58-67, 1983

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