原著
大腸癌におけるリンパ節転移の検討
山村 卓也, 矢部 清寿, 田中 洋一, 平石 守, 荒井 邦佳, 伊藤 徹, 飯塚 一郎, 金井 福栄, 笹子 充, 金丸 仁, 高浜 龍彦, 片山 憲恃, 丸山 雄二, 和田 達雄
東京大学第2外科
昭和46年から昭和56年までに教室で切除された漿膜を有する部位の大腸癌125症例(141病変)を対象として,癌の性状とリンパ節転移の特徴を検討した.その結果,組織学的壁深達度,Borrmann分類による肉眼型,肉眼的漿膜浸潤がリンパ節転移の程度に強く関連しており,ss以下およびBorrmann 1型,Borrmann 2型の平皿型ではn2群以下の転移で,Soではn1群のみの転移であった.隣接動脈領域への転移は8例5.7%にみられ,いずれも組織学的壁深達度はs以上,肉眼型はBorrmann 2型の潰瘍型あるいはBorrmann 3型,肉眼的漿膜浸潤はS2以上であった.肉眼的漿膜浸潤は組織学的壁深達度を比較的よく反映しており,SoではR2の術式とよく,S1以上ではR3の術式が必要であると思われた.適切な術式の決定には術前の検査だけでなく,開腹時の漿膜浸潤の判定が有用であることを指摘した.
索引用語
大腸癌リンパ節転移
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