原著
CEAよりみた癌関連抗原の回収に関する検討
呉 正信, 藤本 茂, 宮崎 勝, 橘川 征夫, 石神 博昭, 雨宮 邦彦, 大山 欣昭, 遠藤 文夫, 志村 賢範, 高橋 修, セレスター R.D., 奥井 勝二
千葉大学医学部第1外科
癌関連抗原の回収を検索する目的で,大腸癌15例(男9名,女6名,38~85歳,平均58.2±11.5歳)について,その癌組織および正常粘膜組織からHypotonic salt extraction(HSE)法とHypertonic salt extraction(3M-KCL)法の2種類の方法を用いて,同時に可溶性抗原を抽出し,それに含まれるCEAを測定した.その結果,HSE法では癌組織265.0±159.4 ng/mg protein(平均±1×標準偏差),正常粘膜組織51.6±32.5 ng/mg proteinであり,3M-KCL法では,それぞれ156.8±81.7 ng/mg protein,27.5±20.3 ng/mg proteinであった.すなわち,癌組織,正常粘膜組織ともHSE法が3M-KCL法より有意に高いCEA値を示した.また,組織分化度の高低,換言すればCEA産生能の多少にかかわらず,この事実が認められた.以上より,癌関連抗原の回収にはHSE法が3M-KCL法より優れていると推定された.さらに,HSE法,3M-KCL法ともに,血中CEAと腫瘍内全CEAの間には有意の相関を認め,かつ臨床病期の進行につれ腫瘍内全CEAは増加傾向を示した.
索引用語
癌関連抗原, CEA
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