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第16巻 第2号 1983年2月 [目次] [全文 ( PDF 717KB)]
原著

門脈圧亢進症における血行動態の検討

野浪 敏明, 原田 明生, 山本 隆男, 末永 昌宏, 堀沢 増雅, 近藤 達平

名古屋大学第2外科

 門脈圧亢進症(門亢症)における食道静脈瘤直達手術の術前術後の血行動態の特徴を明らかにする目的で,門亢症37例を対象としてSwan-Ganz catheterにより全身血行動態ならびに酸素需給状態を測定し検討した.その結果,門亢症ではhyperdynamic stateを示し,これには血漿量の増加が密接に関与することが判明した.また高度肝障害例では全身酸素消費量の低下および末梢での酸素摂取障害が存在し,直達手術後肝不全をきたした症例ではこれらの傾向がより高度であった.門亢症直達手術後の血行動態の特徴は,心拍出量および左室仕事量に変化は少なく,酸素消費量の増大には動静脈酸素較差が対応し,手術侵襲に対する心収縮力の反応性の低下が示唆された.

索引用語
門脈圧亢進症, 食道静脈瘤直達手術, Swan-Ganz catheter, 酸素消費量, 動静脈酸素較差

日消外会誌 16: 146-154, 1983

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