原著
小腸疾患における血管造影の経験
小林 一雄, 森 克彦, 永沢 康滋, 若林 孝幸, 柳田 謙蔵, 吉雄 敏文, 亀谷 寿彦
東邦大学第1外科
血管造影を施行した11例の小腸疾患について,それぞれの造影所見を病態や手術標本と比較検討した.平滑筋腫や活動期クローン病はhypervascularな特徴像を呈したが,平滑筋肉腫は他報告と異なり,特徴像を示さなかった.細網肉腫と癌は鑑別診断困難であったが,血管不整や腫瘍血管を伴った癌では診断可能となる.回腸結腸型の腸重積や腸回転異常も経験したが,これらは特徴像を示した.以上より血管造影は質的診断に多少問題はあるが,存在診断や進展範囲の判定には有力で,小腸疾患が疑われる場合,積極的に施行すべきである.また,200例の上腸間膜動脈の分枝の検討も行ったが,亜型も多いため,診断の際,まず分枝状況の把握を要する.
索引用語
上腸間膜動脈造影, 小腸腫瘍, 小腸クローン病, 腸重積の血管造影所見, 腸回転異常の血管造影所見
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