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第16巻 第5号 1983年5月 [目次] [全文 ( PDF 719KB)]
原著

胃癌における日本住血吸虫卵の介在とその意義について

橋本 謙, 福嶋 博愛, 北里 誠也, 磯本 浩晴, 武田 仁良, 掛川 暉夫, 白井 文夫1)

久留米大学第1外科, 久留米大学第1病理1)

 過去15年間に当教室で切除した胃標本1,167例および所属リンパ節のうち,日本住血吸虫卵の介在した32症例について,発癌との関連性について検討した.癌腫の発生部位では幽門部に高頻度にみられ,進行癌,早期癌のいずれも幽門部領域癌の4%を占めた.また日虫卵の介在層については粘膜層および粘膜下層に多く認めた.肉眼型では早期癌において,隆起型の頻度がやや高いのが特徴的であった.一方,組織型では癌病巣内に虫卵の介在をみた6症例はいずれも分化型腺癌であった.以下,胃潰瘍および大腸癌との比較,家族歴などについても検討した.その結果,現段階では日本住血吸虫症と胃癌との因果関係を的確に解明することは困難であった.

索引用語
胃癌と寄生虫, 日本住血吸虫症

日消外会誌 16: 835-841, 1983

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