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第16巻 第5号 1983年5月 [目次] [全文 ( PDF 1071KB)]
原著

実験的ストレス潰瘍発生時における胃粘膜エネルギー代謝について

中根 恭司

関西医科大学外科学教室(指導:山本政勝教授)

 ストレス負荷時に胃粘膜にどのようなエネルギー代謝の変動が生じるかを検討するため粘膜内ATP,乳酸およびTCA回路に関与するアミノ酸について測定した.またこれらの変動が潰瘍の発生にどのように関与するかを潰瘍の発生を著明に抑制するシメチジンおよび迷切群で検討を加えた.ATP値およびEnergy chargeには変動はみられなかったが,著明な乳酸値の増加(290%)と同時にGlu,Aspの低下(50%)およびAlaの増加がみられ,これらの変動は血流障害の結果生じたものと考えられた.シメチジンおよび迷切群では血流障害の改善がみられなかったことより,水浸拘束ストレス潰瘍の発生には攻撃因子の増強が重要な因子になっているであろう可能性が示唆された.

索引用語
水浸拘束ストレス潰瘍, エネルギー代謝, 胃液pH, シメチジン, 迷走神経切離術

日消外会誌 16: 847-857, 1983

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