原著
胆嚢癌の進展様式と治療方針に関する研究
持永 瑞恵
熊本大学外科学第1講座(指導:宮内好正教授)
胆嚢癌の外科治療成績の向上を目的として自験93例をもとに進展様式に関する臨床病理学的検討と術後生存率を検討した.胆嚢壁での脈管侵襲18例では全例ly3であったがうち9例ではv0かv1であった.隣接臓器への進展では肝への進展が59.1%で多く,直接浸潤と浸潤をともなう右葉転移であった.肝浸潤巣辺縁および周辺肝のグ鞘では門脈侵襲なくリンパ管侵襲のみを認め転移経路としてはリンパ行性経路の優勢なことが示唆された.リンパ節転移は第1群についで第2群に多かったが第3群にもかなりの率でみられた.S因子が術後生存率との相関が高くさらにStage決定因子でもあった.進展様式と切除例の予後からStage Iには肝床切除とR2,Stage IIには肝区域切除とR2,Stage III以上には肝区域切除兼膵十二指腸切除が合目的である.
索引用語
胆嚢癌の進展様式, 胆嚢癌術後生存率, 胆嚢癌の治療方針
日消外会誌 16: 1334-1344, 1983
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