原著
潰瘍性大腸炎症例の便中細菌叢の変化
久保 章, 杉田 昭, 仲野 明, 川本 勝, 石黒 直樹, 福島 恒男, 竹村 浩, 土屋 周二
横浜市立大学第2外科
潰瘍性大腸炎症40例について,罹患範囲,病期,術前・術後などにわけて便中細菌叢を検索した.健常対照群と比較し,本症例では総菌数10.5±0.5,Bacteroidaceae 10.6±0.6,Eubacterium 9.4±0.7,Peptococcaceae 9.1±0.7と有意に減少していた.また,活動期と緩解期を比較すると,同一罹患範囲群の中でも,総菌数.嫌気性菌数の有意差が認められるものもあった.術前・術後を比較すると,総菌数は術前10.5±0.5,術後9.3±0.5と有意に減少していた.本症では,大腸の炎症性変化により,粘膜の恒常性が保たれず腸管内環境の変化がおこるために便中細菌叢の変化が惹起されると考えられた.
索引用語
潰瘍性大腸炎, 便中細菌叢, 嫌気性菌
日消外会誌 16: 1363-1368, 1983
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