原著
術後のストレス潰瘍治療の再検討とくにシメチジンの予防と治療について
裏川 公章, 松永 雄一, 内藤 伸三, 河合 澄雄, 高瀬 信明, 中山 康夫, 香川 修司, 高田 孝好, 長畑 洋司, 林 民樹, 斎藤 洋一, 西村 和夫1)
神戸大学医学部第1外科, 西脇市民病院外科1)
ラットの急性潰瘍を用い,シメチジンの予防と治療効果について実験的に検討を加え,また術後ストレス潰瘍33例に投与し,シメチジン使用以前の治療成績と比較し,また術後に急性潰瘍の発生の予測される18症例にも術直後より予防的に投与し,予防と治療効果について検討した.シメチジンの予防と治療実験では著明な効果を得,その機序としてはpHの抑制だけでなく,血流の減少を阻止する作用があると示唆された.臨床面ではシメチジン無効例は血管露出6例中5例と,肝不全,腎不全を合併した5症例であった.以上より露出血管を認める症例にはレーザー止血や,積極的に手術を行い,また術後出血の予測される症例には術直後よりシメチジンの投与が有効と考えられた.
索引用語
術後ストレス潰瘍, シメチジン, 胃壁血流, 迷切術
日消外会誌 16: 1477-1485, 1983
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