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第16巻 第8号 1983年8月 [目次] [全文 ( PDF 949KB)]
原著

低酸素環境下の膵臓燐脂質代謝およびこれにおよぼす抗生物質の影響に関する研究

田中 俊郎

関西医科大学外科学講座(指導:山本政勝教授)

 急性膵炎犬をモデルとして,低酸素環境下における膵臓の燐脂質代謝に及ぼすphospholipaseの役割を検討し,さらにこの酵素活性に阻害的に作動すると思われる薬剤とくに抗生物質を中心に検討を行った.膵炎発症後24時間で膵臓の総脂質は65%,燐脂質は45%,蛋白質は76%に減少したがとくに燐脂質の減少が顕著であった.この際,lecithinが減少しlysolecithinおよび遊離脂肪酸の増加が認められた.さらに,lecithin,phosphatidylethanolamine,lysolecithinなどの構成脂肪酸は飽和脂肪酸が増加し,不飽和脂肪酸が減少する傾向がみられ,遊離脂肪酸では逆の傾向がみられた.一方,抗生物質に関しては,benzylpenicillin,carbenicillin,tetracyclinには著明なphospholipase活性阻害効果が認められたが,polymyxin Bには阻害効果は認められなかった.

索引用語
急性膵炎, 燐脂質代謝, phospholipase, 脂肪酸分析, phospholipase inhibitor

日消外会誌 16: 1510-1519, 1983

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