原著
カプセル法食道擦過細胞診の改良工夫と食道癌診断能の検討
李 思元
杏林大学医学部第2外科(指導:鍋谷欣市教授)
食道癌の診断にカプセル法食道擦過細胞診を用いてきたが,器具は改良の結果エバーライトスコットHRY 06からなる25 mm 3号刷子が適当である.本法の細胞採取能および食道癌のX線型別成績について検討した.25 mm 3号刷子では10万個を越える食道扁平上皮細胞が採取できる.これは,径2 cmの食道癌を想定した場合,1,740個の癌細胞が採取できる計算になり,小さい癌に対しても高い診断能が期待できる.
当教室患者371名に本法を施行したが,合併症は認めない.食道癌100例の成績は陽性75例(75.0%),疑陽性19例で,陽性と疑陽性を合せた診断率は94.0%である.X線型別成績ではラセン型,ロート型よりも表在型,腫瘤型,鋸歯型の食道癌に高い陽性率を示した.早期食道癌10例では8例(80.0%)が陽性であった.
索引用語
カプセル法食道擦過細胞診, 食道癌の診断, 早期食道癌
日消外会誌 16: 1606-1614, 1983
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