原著
胃全摘術後逆流性食道炎の発生機序
細井 英雄
横浜市立大学第2外科(指導:土屋周二教授)
胃全摘術後逆流性食道炎の病態解明のために実験的,臨床的検討を行った.雑種成犬を用いた実験的検討では,膵液が胆汁より重要な発生因子と考えられ,膵酵素活性阻害剤aprotininの経口投与が本症の発生防止に有効(p<0.01)であった.食道粘膜組織中histamineの増加は組織学的変化に先行し,軽度食道炎の際に既に正常例の3.5倍に増加(p<0.01)していた.臨床的検討では,臨床症状と組織学的変化は必ずしも一致しないが,臨床症状と組織中histamine量には相関(p<0.01)が認められ,検査所見と臨床症状の一致しないことの多い軽度食道炎の際の症状発現に組織中histamineの増加が重要な役割を果していると考えられた.
索引用語
術後逆流性食道炎, 組織中histamine, aprotinin, ポリアクリル酸ソーダ
日消外会誌 16: 1622-1629, 1983
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