原著
頭蓋内手術後の上部消化管出血の病態と予防に関する研究
渡部 洋三, 矢吹 清隆, 大久保 剛, 佐々木 浩, 能美 明夫, 巾 尊宣, 工藤 猛, 川島 利信, 小島 一雄, 津村 秀憲, 若林 厚夫, 近藤 慶一郎, 城所 つとむ, 下地 武義1)
順天堂大学第1外科, 同 脳神外科1)
頭蓋内手術後の胃出血の成因を検討するため,出血群(15例),非出血群(17例)および対照としての胆剔群(10例)を対象として胃内外分泌,血漿カテコールアミンおよび血漿11-Hydroxycorticosteroidsを測定した.また頭蓋内手術後の胃出血の予防効果をみるために,アルギン酸ナトリウム液を47例に,水酸化アルミニウムゲルを34例に投与し,190例の非投与例を対照とし検討した.その結果胃出血の発生には,前部視床下部―迷走神経系の興奮による胃酸分泌の増加と,後部視床下部―変換神経系の興奮による胃粘膜血流量の減少が大きく関与しているものと思われた.また薬物投与による胃出血の予防効果は,出血の程度が軽減され,かなり期待できるものと考えられる.
索引用語
頭蓋内手術, 上部消化管出血, 胃内外分泌機能, カテコールアミン, 下垂体副腎系
日消外会誌 16: 1630-1637, 1983
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