原著
胃癌における組織Carcinoembryonic antigen(CEA)染色性と予後との関係
池田 栄人, 小島 治, 谷奥 卓郎, 北川 直樹, 間島 孝, 上原 泰夫, 西岡 文三, 藤田 佳宏, 間島 進, 中村 隆一1), 井上 勇1)
京都府立医科大学第1外科, 京都第1赤十字病院第1外科1)
胃癌において酵素抗体法による癌組織CEA染色性と予後との関係をみるために,胃癌治癒切除162例について検討した.
検索162例中CEA陽性癌は92例(56.8%)であった.予後を累積5年生存率で比較するとCEA陽性癌46±6%,同陰性癌69±6%であり前者に有意に低率であった.stage別にみるとstage II・III胃癌でCEA陽性癌32±7%,同陰性癌70±7%と前者に有意に低率であった.組織型別にみると高分化癌でCEA陽性癌47±9%,同陰性癌92±5%であり前者に有意に低率であった.この原因として肝再発・腹膜再発ともCEA陽性癌に多かった事が考えられた.
以上,胃癌における癌組織CEA染色陽性は予後不良の指標になりうると考えられた.
索引用語
胃癌の予後, 組織Carcinoembryonic antigen(CEA)染色, 血清CEA値
日消外会誌 16: 1638-1644, 1983
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