原著
肝切除後のrapid turnover serum proteinの変動
大塚 雅昭, 浅野 武秀, 渡辺 一男, 榎本 和夫, 永田 松夫, 佐藤 博
千葉大学第2外科
肝切除患者の術後の肝機能を蛋白合成能の面から評価する目的で,rapid turnover serum protein(prealb,α2HS,α1-AG,α1-AT,hp,cer,tf)を測定した.術前の正常値を求めるため,良性疾患患者17例と食道静脈瘤患者16例について測定すると,食道静脈瘤患者群ではprealb(p<0.01),α1-AG(p<0.001),hp(p<0.05)が有意に低値であった.肝切除術をうけた患者22例(肝葉切除12例,1区域以下切除10例)を対象に術後の変動をみると,prealb,α2HS,tfは減少し,α1-AGは増加した.α1-AT,cer hpは,肝切除量が少ない群では増加し,肝切除量が多い群では減少した.prealb,α2HSは,肝切除量の多いほど大きく変動し,また半減期も短く,肝切除前後の肝機能のモニターとして有用であった.
索引用語
rapid turnover serum protein, 肝切除, 血清蛋白亜分画, 肝機能検査
日消外会誌 16: 1678-1683, 1983
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