原著
幽門結紮ラッ卜による急性食道潰瘍の検討
夏田 康則, 杉町 圭蔵, 松崎 浩一, 松浦 弘, 桑野 博行, 甲斐 秀信, 井口 潔
九州大学医学部第2外科
ラットを用い幽門結紮と下部十二指腸結紮の2群を作り,結紮後24時間後の逆流性食道潰瘍の発生状況を検討した.胃液だけが逆流する幽門結紮群の平均胃液酸度は50.6 mEq/lであり,100%にUl 2以上の深い潰瘍がみられ,好発部位は気管支分岐部付近の生理的狭窄部であった.一方,胃液に加え十二指腸液が逆流する下部十二指腸結紮群では平均胃液酸度は4.71 mEq/lと幽門結紮群にくらべ有意に低く,潰瘍の発生は皆無であった.幽門結紮解除後の食道潰瘍の治癒過程は速やかであり,3,4週目にはすでに潰瘍底の瘢痕化と上皮の再生がみられたが,この期間中に円柱上皮化生を示唆する像は見出せなかった.
索引用語
幽門結紮潰瘍, 実験的食道潰瘍, Barrett上皮, 逆流性食道炎
日消外会誌 16: 1733-1737, 1983
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|