原著
総胆管結紮ラットに発生する拘束ストレス胃潰瘍:胃嚢内に注入した試験液の電解質の変動について
大橋 広文, 日野 輝夫, 伊藤 善朗, 土屋 十次, 野々村 修, 林 幸貴, 坂田 一記
岐阜大学医学部第2外科
閉塞性黄疸ラットを使用して,拘束ストレス下に,1)胃嚢内に試験液を注入,各電解質のnet fluxを測定,2)水素ガスクリアランス法により胃粘膜血流量を測定,閉塞性黄疸にともなうストレス潰瘍発生の機序を検討した.閉塞性黄疸は各電解質のnet fluxに影響を与えなかった.cimetidineはH+の分泌に大きな影響を与えるが,他の電解質分泌には小さな影響しか与えなかった.拘束ストレス下で,胃酸分泌能が維持される一方,胃粘膜血流量が低下することが,酸性液注入時発生する潰瘍の発生機序と考えられた.各電解質のnet fluxの結果を解釈し,何らかの法則性をみいだそうとする場合,neutralization-dilutionとdiffusionの両方の機序が働いていると考えると好都合であった.
索引用語
ストレス胃潰瘍, 総胆管結紮, net flux, 胃粘膜血流量, cimetidine
日消外会誌 16: 1910-1917, 1983
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