原著
胆汁外瘻例の胆汁酸代謝
嶋田 紘, 中川原 儀三, 工藤 琢也*, 森田 修平*, 仲野 明**, 石黒 直樹**, 小林 衛**, 土屋 周二**
福井医科大学第1外科, 横浜赤十字病院外科*, 横浜市立大学第2外科**
胆汁外瘻例の病態を胆汁酸代謝を中心に検討した.1)T字管ドレナージ後の胆汁中総胆汁酸排泄量(≒胆汁酸生成量)は2~3週後で5~7 g/日で正常の10~14倍に増加した.しかしPTCドレナージ例では増加しなかった.この相違は肝硬変,黄疸などの肝細胞障害によるものと思われた.胆汁の腸肝循環を再開すると胆汁酸排泄量は速やかに減少した.2)ドレナージ後,血清総コレステロールは平均50 mg/d1/2 w低下した.NEFA,アルブミンは低下傾向を,トリグリセライドは上昇傾向を示した.3)障害肝や長期間の胆汁外瘻は胆汁酸の喪失が脂質や蛋白代謝の異常を引き起こす可能性があることから,胆汁の還元または胆汁酸の投与を考慮する必要がある.
索引用語
胆汁外瘻, 胆汁酸代謝, 肝障害, CDCA(chenodeoxycholic acid), UDCA(ursodeoxycholic acid)
日消外会誌 16: 1951-1958, 1983
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