原著
強化補助癌化学療法による胃癌症例の生存率の検討―肝薬物代謝酵素賦活による―
藤本 茂, 橘川 征夫, 宮崎 勝, 大山 欣昭, 遠藤 文夫, 志村 腎範, 高橋 修, 菅沢 寛健, 河田 滋, 太田 正保, 栗原 正利, 奥井 勝二, 穂坂 隆義*, 福田 淳*, 唐木 清一**, 川野元 茂**
千葉大学医学部第1外科, 小田原市立病院外科*, 君津中央病院外科**
FT-207より5-FUへの転換率を高めることを目的として肝薬物代謝酵素をphenobarbitalとglutathioneにより賦活させる術後補助癌化学療法の比較研究を,術直後mitomycin C 0.6 mg/kgを投与した切除可能胃癌202例に対して行った.酵素の賦活により血中5-FU濃度は,FT-207投与5時間後迄対照群の2~3倍に上昇したが,5生率は対照群99例と賦活群103例間においては差を見ず,I,II,IV期症例においても認められなかった.しかし,III期では賦活群が術後3,4,5年において優れた生存率(それぞれp<0.025)を示した.副作用として退院時における白血球減少を両群症例の約1/3に,消化器症状も両群において約13%と略同率に認めた.また,酵素賦活のために用いた薬剤に由来する副作用は認められなかった.
索引用語
胃癌症例の術後生存率, 術後補助癌化学療法, 肝薬物代謝酵素
別刷請求先
藤本 茂 〒280 千葉市亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第1外科
受理年月日
1983年9月14日
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