原著
小腸広範切除における胃酸過分泌に対する治療―とくにcimetidineによる実験的検討―
伊原 治, 山本 修, 金子 幸二, 大原 毅, 近藤 芳夫
東京大学第3外科
小腸広範切除後に生ずる胃酸過分泌の対策としてcimetidineを用いて,その減酸効果を実験的に検討した.実験はイヌを使用し,小腸70%切除を行い,胃酸過分泌の状態,ガストリンとの関係,cimetidineの効果を,検索し以下の結果を得た.1)広範切除による胃酸分泌の変化・術前3.09 mEq<術後7.60 mEq(5時間),2)広範切除後のcimetidine投与の効果・投与群0.52 mEq<非投与群4.66 mEq(3時間),減酸率は約90%.以上の結果よりcimetidineは広範切除後に生じる胃酸過分泌に対し十分な減酸効果が得られた.またこの効果は広範切除後に生ずる高ガストリン血症には何らの影響も及ぼすことなく酸分泌を抑制したので,ガストリンの酸分泌機構のfinal mediatorはヒスタミンである可能性が示唆された.
索引用語
小腸広範切除, 胃酸過分泌, ガストリン, Cimetidine
別刷請求先
伊原 治 〒112 文京区目白台3-28-6 東京大学医学部第3外科
受理年月日
1983年10月18日
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