原著
閉塞性黄疸時の肝機能の評価―グルカゴン負荷c-AMP肝組織血流量および肝組織像を中心に―
川浦 幸光, 山田 哲司, 平野 誠, 石田 文生, 岩 喬
金沢大学第1外科
総胆管結紮による閉塞性黄疸を作成し,肝に与える影響を検討した.(1)黄疸期間の延長につれて門脈血・末梢血グルカゴン値の較差が大となった.(2)閉塞解除時にはc-AMP値の低下を認めた.(3)グルカゴン負荷c-AMP値は黄疸の期間が延長するにつれてc-AMPの応答が低下した.(4)閉塞解除が2週間以内になされた群ではc-AMP値の応答が正常群と同等にまで回復した.(5)肝組織血流量は2週間以内に閉塞が解除されれば,解除後1週間で正常に復した.(6)肝組織学的所見は胆汁うっ帯,類洞の拡張がみられた,3週間黄疸が続くと,閉塞解除後にもグリソン鞘の小円形細胞浸潤が残存した.以上より,肝外閉塞性黄疸は2週間以内に解除されるべきものと考えられる.
索引用語
肝外閉塞性黄疸, グルカゴン負荷c-AMP, 肝組織血流量, 門脈血中グルカゴン値
別刷請求先
川浦 幸光 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第1外科
受理年月日
1983年10月18日
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