原著
胃穹窿部癌の臨床病理学的検究
梛野 正人, 高木 国夫, 中島 聰總, 大橋 一郎, 太田 博俊, 高橋 知之, 久野 敬二郎, 梶谷 鐶
癌研究会附属病院外科
胃穹窿部とは,X線上,胃に空気が充分入った拡張した状態において,噴門口上縁の水平線以上の部位とし,穹窿部癌とは,その中心および全体の1/2以上が同部位に存在する癌とした.対象は1946~79年に経験した単発根治胃癌4,719例中,上記の定義を満たす17例(0.36%)であり,早期癌2例,進行癌15例,平均年齢56.9歳,男女比2.4であった.肉眼型別では限局型癌(Borr I,II)の割合が高く,特にBorr I型癌の割合は他領域に比べ著しく高かった.組織型では,分化型癌10例,未分化型癌7例と分化型癌が多く,また腸上皮化生をともなわない分化型癌の存在が目立った.リンパ節転移率52.9%(9/17),5生率56.3%(9/16)であり,進行癌の多い割に5生率は良好であった.
索引用語
胃穹窿部, 穹窿部癌
別刷請求先
梛野 正人 〒457 名古屋市南区白水町9 大同病院外科
受理年月日
1983年10月18日
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