原著
膵頭部癌拡大手術例の検討―とくに門脈系血管合併切除に関して―
今泉 俊秀, 羽生 富士夫, 中村 光司, 吉川 達也, 江口 礼紀, 三浦 修, 原田 昌弘, 伊藤 孝子
東京女子医科大学消化器病センター外科
過去15年間に教室で切除された膵頭部癌は80例(切除率32%)で,膵頭十二指腸切除術61例(門脈切除21例),膵全摘術19例(門脈切除10例)である.従来の標準手術では非治癒切除に終ったものが多く,1978年以降は,積極的に拡大手術を採り入れてきた.この結果,切除率,治癒切除率の向上は著しいものの,これらの対象の多くはstage III,IVでもあり,必ずしも遠隔成績の向上には結びつかず,「1年の壁」を破れないのが実情である.我々の膵頭部癌に対する手術方針は,第1に,全例に門脈系血管合併切除を行うこと,第2に,後腹膜郭清を徹底化すること,第3に,尾側膵はできるだけ温存するが,適応があれば膵全摘も行うということである.
索引用語
膵頭部癌, 膵頭部癌拡大手術, 門脈系血管合併切除, 膵全摘術, 膵頭十二指腸切除術
別刷請求先
今泉 俊秀 〒162 新宿区市谷河田町10 東京女子医科大学消化器病センター外科
受理年月日
1983年10月18日
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