原著
本邦における良性食道疾患に併存した食道癌
八板 朗, 嶺 博之, 雷 哲明, 東儀 公哲, 河野 仁志, 金森 弘明, 久保田 博文, 増尾 光樹, 遠藤 昭穂, 中村 輝久
島根医科大学第2外科
良性食道疾患に併存した食道癌についての全国集計を行い,159施設より回答を得,良性疾患別の食道癌併存頻度や良性疾患と癌の因果関係などについて検査した.なお,調査期間は昭和38年から昭和57年の20年間である.
食道癌併存頻度は良性腫瘍560例中78例,13.9%,憩室1,169例中53例,4.5%,アカラシア1,388例中49例,3.5%,腐蝕性狭窄218例中12例,5.5%,裂孔ヘルニア2,355例中36例,1.5%,食道炎1,538例中11例,0.7%,食道静脈瘤1,412例中14例,1.0%,食道web 185例中15例,8.1%などであった.
両者の因果関係の検討では,アカラシアと腐蝕性狭窄が食道癌と因果関係が強かった.これら以外の良性疾患と癌の因果関係は不明であった.
索引用語
良性食道腫瘍, 食道憩室, アカラシア, 腐蝕性食道狭窄, 食道癌
別刷請求先
八板 朗 〒693 出雲市塩治町89-1 島根医科大学第2外科
受理年月日
1984年1月11日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|