原著
病巣の大きさ別にみた早期胃癌の臨床病理学的特徴とその発育形式
羽生 丕, 竹下 公矢, 丸山 道生, ティラウッ・クーハプレマ, 越智 邦明, 中嶋 昭, 砂川 正勝, 星 和夫
東京医科歯科大学第1外科
単発早期胃癌163例を大きさによりA群(10 mm以下)19例,B群(11~20 mm)40例,C群(21~50 mm)75例,D群(51 mm以上)29例の4群に分け,病巣の増大にともなって起こる癌の肉眼的,組織学的変化を比較検討し,胃癌の発育,進展に関して以下の結論を得た.
1)癌巣が大きくなるほど男女比は減少し女性の割合が増加する傾向が認められた.
2)A領域ではM,C領域に比べ20 mm以下の小さな癌が多い傾向が認められた.
3)長径20 mmを境として,これより大型の早期胃癌ではそれ以下のものに比べてsm癌の比率が高く,リンパ節転移やリンパ管侵襲の率も上昇し,遠隔成績も不良であった.
4)癌巣が大きくなるほど病巣内潰瘍の合併率は増し,しかも深い潰瘍が多くなった.このことから早期胃癌に合併する潰瘍の多くは癌の二次的潰瘍化によるものと思われた.
索引用語
早期胃癌, 胃癌の発育様式
別刷請求先
羽生 丕 〒113 東京都文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第1外科
受理年月日
1983年12月14日
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