原著
胃全摘術後の血中高級脂肪酸濃度について
杉田 昭, 福島 恒男, 石黒 直樹, 久保 章, 川本 勝, 仲野 明, 西山 潔, 土屋 周二
横浜市立大学第2外科
胃全摘術後の脂質代謝を検討するため,血中高級脂肪酸濃度をガスクロマトグラフィー法で測定した.対象は胃全摘18例で,比較のため胃亜全摘7例も検討した.対照群は16例とした.胃全摘群は対照群に比べ,測定した脂肪酸の総和である総濃度と必須脂肪酸であるリノール酸,リノレン酸が有意に低下し,胃亜全摘群に比べて,リノール酸,リノレン酸が低下していた.必須脂肪酸は生体内では合成できないため,その低下は生体内での欠乏を示し,食物摂取量の低下,脂肪の吸収障害が原因と考えられた.必須脂肪酸欠乏の臨床症状は明らかではないが,脂質欠乏が体重回復遅延の一因と考えられ,術後栄養状態について,注意深い観察が必要と考えられた.
索引用語
胃全摘, 血中高級脂肪酸, 必須脂肪酸
別刷請求先
杉田 昭 〒232 横浜市南区浦舟町4-57 横浜市立大学第2外科
受理年月日
1984年1月11日
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