原著
肝再生におけるブドウ糖の利用と肝のインスリン取り込みに関する実験的研究
小林 衛, 武藤 正樹, 鬼頭 文彦1), 宮原 研一1), 新明 紘一郎1), 呉 宏幸1), 長堀 薫1), 横井 隆志1), 土屋 周二1), 嶋田 紘2)
国立横浜病院外科, 横浜市立大学第2外科1), 福井医科大学第1外科2)
雑種成犬20頭に40%肝切除をおこない,2週~3月後の残存肝重量変化とブドウ糖投与による糖利用や肝におけるインスリン取り込みとの関連性を調べた.残存肝は60%から,2週後91.0%,1月後87.1%,2月後92.2%,3月後98.7%と変化した.この重量増加の著しい2週の時期において,1)空腹時の糖新生によると思われる糖産生亢進と,肝におけるインスリン取り込みの亢進,2)ブドウ糖投与後の末梢組織における糖利用亢進と,肝あるいは末梢組織におけるインスリン取り込みの亢進が観察された.この二つの所見はともに肝mitochondriaによるATP生成能亢進と合致する成績であり,肝再生と関連性の強い成績であるといえる.
索引用語
肝再生, ブドウ糖利用, 肝インスリン取り込み, 糖新生, 門脈血インスリン
別刷請求先
小林 衛 〒241 横浜市旭区本宿町58-5 国立横浜病院外科
受理年月日
1984年1月11日
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