原著
切除不能肝癌に対する塞栓癌化学療法の実験的研究
藤本 茂, 遠藤 文夫, 宮崎 勝, 高橋 修, 志村 賢範, 菅沢 寛健, 河田 滋, 栗原 正利, セレスタ R.D., 奥井 勝二
千葉大学医学部第1外科
切除不能肝癌治療の基礎的検討として牛血清アルブミンを担体とした直径45±8 µmのマイトマイシン小球体(mitomycin C microsphere―MMC MS―)を作製して大黒鼡の肝動脈より注入し,その除放性と肝組織に対する影響について検索した.MMC MS注入後の肝静脈よりの薬剤流出の半減時間は約85分であり,明らかな徐放性が認められた.市販MMC,placebo MSの注入では肝組織に変化を認めないが,MMC MSの場合は投与24時間後に肝細動脈の領域にnecrobiosisを認め,次いで壊死へと進展し,投与3週間後に肝動脈内にMMC MSの残留を認めた.以上,MMC MSはMMCを肝癌病巣に選択的に長時間集中させることが可能であり,切除不能肝癌症例に対する塞栓化学療法としての有用性が示唆された.
索引用語
制癌剤含有小球体, 塞栓化学療法, 肝癌
別刷請求先
藤本 茂 〒280 千葉市亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第1外科
受理年月日
1984年1月11日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|