原発性肝悪性腫瘍例の肝切除成績

木南　義男, 新村　康二, 菅原　昇次郎, 坂田　則昭, 泉　良平, 高島　茂樹, 小西　孝司, 宮崎　逸夫

金沢大学医学部第2外科教室

　過去21年間に著者らの施設において実施された原発性肝悪性腫瘍例に対する肝切除術の治療成績が検討された．87例中，53例は肝硬変症を合併しており，45例（52％）は肝部分切除から3区域切除までの種々の程度の肝切除術を受けた．肝切除率は肝細胞癌72例において50％で，ほかの腫瘍15例では60％であり，手術死亡率は前者が17％で，後者が0％であった．耐術39例全体の粗生存率は1年が48％，3年が25％，5年が16％であった．また，肝細胞癌例の生存率は1年が42％で5年が8％であり，ほかの腫瘍例ではおのおの71％および29％であった．なお，肝硬変症合併例は4年以上の生存をみなかった．以上の成績より，原発性肝悪性腫瘍全体の切除成績を向上するためには，とくに肝硬変合併肝細胞癌例における肝切除成績の改善が重要なことが示唆された．

索引用語
原発性肝悪性腫瘍, 肝細胞癌, 肝区域切除, 肝葉切除, 肝硬変症

別刷請求先
木南　義男　〒920　金沢市宝町13-1　金沢大学第2外科

受理年月日
1984年1月11日

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