原著
総胆管結紮後の血液凝回線溶系変化―雑種成犬による実験的研究―
中尾 昭公, 野浪 敏明
名古屋大学医学部第2外科
雑種成犬の血液凝固線溶系の測定を施行し,良好な検量線を確立した.次に成犬15頭を用い,総胆管を結紮切離して閉塞性黄疸を作成し,肝機能,血液凝固線溶系ならびにベーターグルクロニダーゼの変動について測定した.総胆管結紮後11~125日(平均35日)で15頭すべて死亡した.総胆管結紮による閉塞性黄疸肝における血液凝固線溶系因子の産生は比較的良好に維持された.しかし,ビタミンK欠乏によると推察されるビタミンK依存性凝固因子(II,VII,IX,X)の肝での産生が障害され,著明な凝固能の低下が認められた.一方,線溶系の変動は凝固系に比較して軽度であった.
索引用語
総胆管結紮, 血液凝固線溶系, 閉塞性黄疸, PIVKA
別刷請求先
中尾 昭公 〒466 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学医学部第2外科
受理年月日
1984年1月11日
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