原著
再建術式よりみた膵頭十二指腸切除後の残存膵機能
田村 勝洋, 中川 正久, 小野 恵司, 矢野 誠司, 安藤 静一郎, 内藤 篤, 樽見 隆雄, 大和 俊夫, 中瀬 明
島根医科大学第1外科
消化管ホルモンを介する腸膵相関の観点から,膵頭十二指腸切除後Billroth-I型再建を行い,従来よりのBillroth-II型再建と比較して残存膵内外分泌機能を臨床的に検討した.術後3~6月での50 gOGTTでは耐糖能はBillroth-I型がやや優れ,Insulinogenic IndexもBillroth-I型0.243±0.0651に対しBillroth-II型0.184±0.0556と前者がやや優れていた.PFD試験ではBillroth-I型77±3.6%に対しBillroth-II型62±6.2%と前者がやや良好な成績を示した.このような差は腸膵相関の観点からみれば,Billroth-II型再建は残存上部空腸のかなりの部分を空置するのに対してBillroth-I型再建はそれをあますところなく利用するためと推測され,残存膵機能の面では有利であると思われた.
索引用語
膵頭十二指腸切除, Billroth-I型再建(PD-III), 腸膵相関, PFD試験
別刷請求先
田村 勝洋 〒693 島根県出雲市塩冶町89-1 島根医科大学第1外科
受理年月日
1984年1月11日
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